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良い医師が良い院長になれるとは限らない

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山崎豊子の長編小説「白い巨塔」。何度もテレビドラマになったことから、大病院の派閥人事が劇的に展開されたことから、世間にセンセーションを巻き起こしました。1963年から1965年にサンデー毎日に連載された後、今なお読み語られている背景には、医療業界の独特な文化があることがあるからです。
一般の患者にとって、医師は特殊技能職であり、病気やケガの治療を行う唯一の存在です。医師になるには高いレベルの学力と、数十冊もの教本を読みこなす知力、そして忍耐力と当直や緊急時に救命できる体力など、優れた能力が必要です。特に、職業倫理の高さは非常に重要で、日本の病院が世界でも誇れるレベルに達しているのは、全ての医学部教育が6年間の厳しい制度を取っているから、といわれています。
「白い巨塔」では、主人公の財前五郎を医師として見るか、あるいは病院内の派閥や医局人事のひとつの駒と見るかで、内容は非常に異なってきます。技術のある医師であるからこそ、大学教授になれるわけであって、単に人望だけがあっても頂点には上り詰めることはできません。経営的にタッチしない、といわれる大学病院であったとしても、日本の場合は医師が院長になるのが常識です。

ただ、現在国立大学も独立行政法人化し、私立大学同様「経営」が求められます。総合病院からクリニックに至るまで、院長というポストは「経営者」として、2ヶ月後れで入金する診療報酬による収入を当てにしなければならないのです。
ひとりの人間が経営者と医師の両方を同時進行で行うには、病院規模の制限があります。患者数が増えれば、それだけ多くのレセプトを発行することになり、関係する書類の処理だけでも多くの担当者を必要とします。また、入院病棟を持つ場合は、看護師のシフトや当直医師の確保、警備担当者の配置等、様々な人事にも介入しなければなりません。
それによって、大規模病院の多くの場合院長は特診だけになる傾向が強く、医師としての最前線に立つ時間が制限されて行きます。また、勤務医の中でも、医長を目指す医師や研究肌の医師など、個性的な集団をまとめていかなければなりません。患者のクレームや看護師の勤務環境などにも目を配る必要があります。
医師としても経営者としても成功している人の多くは、やはり執刀例の多さや臨床数の多さ、というのが通例です。やはり、現場をいかにこなしてきたか、患者に接して来たかで良い院長となり、良い病院となります。その逆もまた真なりです。

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