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秋田県の求人募集~上小阿仁村の「医師いじめ」は本当か?

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無医村に勤務するデメリットの本質とは?

高齢化と過疎化は、日本全国が抱える大きな問題のひとつ。特に東北、四国、九州といった地域には高齢化した限界集落が隣接するように集まっている、と言います。こうした場所は、地形が山がちであること、コンビニや薬局、郵便局が存在しない、といった共通点がみられます。地図には地名だけが残り、行政の手が届かないような山間部では、時として大きな災害時にライフライン(電気、ガス、水道そして道路)が消失してしまうことも度々ニュースで報道されます。

いわゆる「無医村」に医師を派遣しようとする県医師会や都道府県も、その対処に全力を挙げているのですが、中には住民側が予想もしない反発を行うことがあります。こうした医療リスクに対して、医師側が考えておかなければならない無医村勤務のデメリットについて考えます。

それは、突然大騒ぎになった!ある無医村での信じられない話

人口約2,400人、面積256.72km² の村、上小阿仁村(かみこあにむら)。ここで2008年(平成20年)村はたった一人の医師を「首にする」という騒動を起こしました。それから4人の医師が次々と任期で辞表を提出。短い場合はわずか1カ月、長くても2年余足らずという勤務期間で、村はその度にネットによる求人募集を行っていたわけです。(現在8人目の医師が着任中)

秋田県の中央部にあるこの村ですが、面積では大阪市(24区=面積222km²)より少し広い程度。ですが、人口約260万人の大阪市に比べると、いかに過疎化しているのかがわかります。この村の近隣には総合病院があり、自動車所有の住民はたやすく受診できる境遇ですが、問題はこういった足を持たない高齢者や介護施設入所のお年寄りの体調管理にありました。村は応募してきた医師に診療所の勤務を依頼していましたが、たびたびにも及ぶ「医師への嫌がらせ」が頻発し、体調を崩した赴任医師が次々と「脱落」してしまう…という騒ぎに発展してしまったのです。

実態を把握する前に、知っておきたい秋田県の過疎地の現実

過疎地域に興味がある医師、あるいは世界各地で避難民の医療に取り組んだ経験のある医師、おそらく自らの経験がその地域を手助けすることができる…と考えるのは、医師として十分ふさわしい思考だと言えます。ですが、秋田県のこの村が起こした「医師いじめ」は、非常に難しい問題を孕んでいると考えましょう。

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まず、過疎地域がなぜあるのか…という点に注目します。都市部に人口が集まるのは、経済活動や教育といった複合的な社会参加の密度の高さが、人々を惹きつけるからです。そこには、プラス面もありますが、必ずマイナス面ももたらされます。そのため、ストレスの増殖が至る所で発生し、医療の力がこれを癒したり、寛解に向けて大きな力となるのは言うまでもありません。

ところが、過疎地域は逆にこれといった経済活動が無く、数十年もの間同じ人たちが住み続けた結果、人口が減少している地域を指します。つまり、そこには新しい街づくりや新しい雇用などの「ニューパワー」に関心が無く、積み上げてきた歴史を頼りに、町の人間関係が構築されているだけなのです。そのため、一度些細な喧嘩で隣近所と仲が悪くなってしまった住民は、その後対立するグループを形成していったり、各々が敵と味方に分かれるようなことをし始めます。

もちろん、暴力沙汰になるようなことは滅多にありません。が、唯一繰り広げられるのが「選挙」です。人口2,000人の村であっては、誰がどの候補を推すのかは長年の経験で住民全員が知るところ、となります。町長になれば、一番町民のために行わなければならない「福祉」にどれだけの力を発揮するか、そこをPRするのです。もしあなたがこうした「爆弾」を抱えた無医村に応募した場合は、その待遇や住居、診療所の建物や村の佇まいだけに目をとらわれてはいけません。知らなければならないのは「政治」が安定しているかどうか、なのです!

医師を温かく迎えてくれる無医村に勤務するなら、まず情報を集めなければ無駄足になる

「俺たちの年収は150万程度なのに、医者はひとりで2,000万円ももらうんだってよ!」「診療所なんて、結局怪我しても病気になっても、なにも手当できないじゃないか」「隣町の総合病院へ紹介状を書いてくれるだけなら、直接行ったほうが早い」…こんな声はどんな町村でも聞かれるものです。特に、海や山で生活を立てている住民だけが住んでいる場合、医師は所詮「よそもの」です。

東京出身の医師が群馬や栃木、茨城の訛りに「土地の言葉」を意識する程度ではなく、東北地方の独特な言葉や生活習慣に接した場合、それが無医村集落では「よそものがどういう反応をするのか」というアクションを行います。実はこれは医師に限りません。この上小阿仁村では、地域おこし協力隊員を迎えながら、更新せず事実上の首切り(2015年=平成27年 2月20日、朝日新聞デジタルより引用)が起こりました。

閉鎖的な町や村がなぜ全国にあるのか…そして善意で集まる他方の人たちをなぜ拒否し続けるのか…これは、インターネット上に流布されていることが全て正しいとはいえないまでも、冷静に「何かある」場所には医療以外の問題も必ずある…と多方面からの情報をより多く集積し、体調を崩すような医療の道へ進まないのが大切です。

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