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消化器内科の求人転職に求められる胃ろう造設とは

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胃ろう造設に消極的な欧米に対して、積極的な日本の現状と今後の動きを読む
終末期医療をどう考えるのか、これは世界各国の医療界が永遠に試行錯誤する問題です。認知症は高次脳機能に大きな影響を及ぼします。患者の尊厳を考えて「安楽死」を認めたオランダ、そしてフランスでも死の権利を患者が有する時代に入りました。翻って、日本の医療はできるだけ延命させようとする医療側と家族の強い意思が働いています。消化器内科が抱える複雑な症例やその背景をしっかり考えた上で、消化器内科とは何なのかを問います。

慶応大学病院で寛解した安倍首相は、主治医と相性が良かったのか?

昨今医学界の常識を変えつつある「腸内フローラ」。特に潰瘍性大腸炎は、原因不明の小さな潰瘍が腸内に無数に出ては消え、下痢の症状や腹痛を起こす疾病として知られます。従来は大腸カメラでその潰瘍部分を削除することが多かったのですが、再発が多いことと、大腸カメラを頻繁に体内に移入するリスクは低くないことから、抗生剤を使った療法が広まりました。

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潰瘍性大腸炎が世間に広く伝わったのは、2007年(平成19年)8月。時の首相である安倍晋三氏が慶應義塾大学医学部病院にて辞任会見を行ったことでした。健康問題で辞任するのも異例でしたが、20代から潰瘍性大腸炎を患っていたことから、寛解が難しい難病であることが広く世間に伝わったのです。ですが、数年後安倍氏は首相としてカムバックを果たしました。治療薬はゼリア新薬の「アサコール」(開発国、スイス)ですが、これは多くの患者の治癒に大きな影響を与えました。

2010年(平成22年)6月に新たに認可された田辺三菱製薬の「レミケード」(開発国、アメリカ)は抗TNFα抗体製剤として、まずクローン病の治療薬として認められ、関節リウマチに続いて、潰瘍性大腸炎での寛解が立証され、現在13万人いると言われる患者への投与が始まっています。安倍首相の主治医だった日比紀文 慶大教授(現 北里大学 炎症性腸疾患先進治療センター長)は、抗TNFα抗体製剤についての知識が豊富だったことから、ひとつひとつの症例に対して効き目があるのかどうかを研究し、全ての患者に投与するかどうかは慎重だった、と言われています。

安倍氏は病気療養中に、政治家としての体力を回復するための治療に主眼をおいた治療を受けた、と側近は後述しています。つまり、主治医との関係が、良好だった一例として挙げられるのは、その後の首相としての再登板を見ればわかるでしょう。

胃ろう造設から、胃ろう抜去へと舵を切る厚生労働省、そして診療報酬ありきの議論ばかりの医師

消化器内科の中でも、クローン病をはじめとする難病専門医の活躍が顕著であるのに対し、終末期医療に立ち向かわなければならない医師も多いのが現実。特に「胃ろう」「腸ろう」に関して、肯定派だった厚労省が否定派に変貌したことが大きな影響をもたらしています。

まず、胃ろうや腸ろうに関して、忘れてはならないのが「介護福祉士」の医療行為について、です。介護保険報酬が改定され、喀痰吸引 (口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)と経管栄養 (胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養 )が介護福祉士の医療行為として認められ加点されたことから、老人福祉施設では介護福祉士の新たな医療への介入が現実となりました。これには、複雑な介護現場の事情があるのも事実です。

ご存知のように、特養と呼ばれる老人介護施設では、食事の介助や口腔ケアを行う介護福祉士が慢性的に不足しています。自分の力で食べることが出来さえすれば、利用者の介護負担は非常に少なくて済みます。そのために、多くの施設では胃ろうや腸ろうを勧めるケースが多く出てきます。また、胃ろうの患者でなければ受け入れない施設が非常に多いことも事実なのです。ここまでの話だけで言えば、介護施設の都合で、胃ろう造設患者が次々と作られる事実が浮かび上がってくるわけです。

問題は「消化器内科医」が「誤嚥の可能性を予知できるか」という点に絞られる

潰瘍性大腸炎の治療に対しての治療、そして終末期医療に対して施さなければならない胃ろう造設…特に胃ろうは付けてしまえば取り外せるような仕組みにはなっているものの、患者が退院したあとのQOLを考えるとなかなか抜去の機会が現実には少ないように思えます。

なぜか、それはやはり「口腔」に関係する問題が大きいから、と言えます。誤嚥による肺炎で死亡する高齢者が存在します。そして、一般市民は「胃ろう」になれば、寝たきりになって植物人間状態になるのでは…という間違った認識が多く発生しています。欧州では胃ろうはない、と断言する研究者がいますが、実際には胃ろうは行われています。ただ、日本のような終末期医療の手厚さは、キリスト教国家とは基本的に違うものです。

国は胃ろうの抜去の診療報酬加点を大幅に増やしました。それは胃ろうを減らそうという考え方に基づきます。ですが、実際には胃ろう患者を増やさなければ、介護職員の仕事はますます増えるのが現実なのです。そのことから、消化器内科医は、実は終末期、あるいは回復期の患者の主治医として一般内科医同様の立場にならなければならない、そういう時代が来ているのが現実なのです。

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