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医師、岐阜の求人~臨床研修医の充足率はなぜ低いのか?

臨床研修医の充足率はなぜ低いのか?地域医療に進む少数派の頑張りとは
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人口200万人、県唯一の医学部を持つ岐阜大学医学部は、110人の定員の4割を研修医として「飲み込んで」います。初期研修医も後期研修医も一極集中化が万年化している状態は、他県をダントツに引き離している状況です。とりわけ、歴史ある町づくりで有名な飛騨地方の医師不足を、どう対処するのか…研修医に人気のない地域医療の現実と希望について記載します。

9つの「指定枠」だけが、医療人を育てる現実

岐阜大学医学部附属病院、岐阜県総合医療センタ-、岐阜市民病院、松波総合病院、木沢記念病院、大垣市民病院、中濃厚生病院、県立多治見病院、高山赤十字病院 … この9つの医療機関は、岐阜大学医学部医局の研修生受入先です。岐阜県は平野がほとんどなく、県中央の岐阜市周辺の他は、山に囲まれていること、6つの水流に恵まれていることから、農産業や繊維業が発達しましたが、商業は東海3県では名古屋のある愛知県に遅れを取っています。

東海地方の中でも、岐阜県は北側の飛騨と南側の美濃では気温の差が激しく、氷点下10℃以下から、夏は40℃にもなる非常に過酷な地域でもあります。そのため、岐阜県としての医療機関は大病院ではなく、地方の診療所がその役割を担っています。つまり、家庭医である総合内科医の存在感が非常に大きいわけです。例えば、飛騨市・白川村・高山市・下呂市の飛騨医療圏では、妊婦支援と脳卒中対策を特に重点要件として、岐阜県が医療関係者の確保に努めています。

岐阜県の問題は医療圏が山がちであり、冬の寒さが半端ではないことです。例えば、南飛騨地方の岐阜県立下呂温泉病院は206床ですが、肝心の救急科医師と産婦人科医師が不足しているため、他科の医師が臨床している状況です。

岐阜の医師の情況~地域医療は市民の手で守るしかない

下呂市民にとって、16ある開業医はクリニックとしていつまでも存続できないことは、よく知られています。いずれも後継者不足が大変な問題なのです。また、故郷の原型ともうたわれる美しい山里、白川村に関しては、国民保険診療所(歯科、内科、小児科)と民間の歯科医院の2つしかありません。世界遺産白川郷は、美しい合掌作りの藁葺き屋根が見事な地域ですが、1,700人の人口のほとんどは老人世帯です。

ただ、こうした過疎地域は、住民の協力が非常に発達しており、世界遺産認定後の観光地化が進んでいるにもかかわらず、住民同士の助け合いが高度医療を喫緊問題としない要因になってきました。要は、医療の目的が予防から終末期までの丸抱え医療ではなく、なにかあったときにかかるのが医療という限定的な医療依存体系が、住民に出来上がっていることが大きいのです。
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揖斐郡北西部地域医療センター(岐阜県揖斐川町)で研修を受けた村の医師 伊佐次悟(いさじ さとる)先生は、自治医科大学出身。地域医療やへき地医療に多大な貢献をしてきた総合内科医のひとりとして、村を支えていますが、意外にも、村人の医療依存は少ない、と言います。それは住民の暮らし方にある、というのが一説。決して便利とは言えない村の生活ですが、守らなければならない景観が最優先であり、それにのっとって暮らす村民は、旧来の生き方をそのまま続けています。

結果として、コンビニも総合病院も不要とする考え方は、生活習慣や食生活を健康に保っており、過疎化地域にあって、非常にQOLが高い地域に育っていると言われます。

少数派の頑張り、伊佐次医師の決意

伊佐次医師は自治医科大学卒業後、この白川村平瀬診療所に勤務しています。その中で、骨折患者を隣の高山市へ運ぶ(付き添う)など、地域の医療連携を自ら引っ張ってきました。ここで見えることは、行政や住民には医療現場はわからない、という現実です。どこまで伊佐次医師が臨床できて、それ以上はどの地域のどの病院につなぐのか、それは普段から医師同士の意思疎通が必要です。

揖斐郡北西部地域医療センターは全国のへき地医療を学ぶ研修センターとして著名な医療施設であり、もう一方で山びこの郷という名称の地域包括医療の最前線になっています。医師は6名、全て総合診療科であり、男性医師5人と女性医師1名で老健からデイサービスなどを一手に引き受けています。

伊佐次医師はここで研修を積み、総合内科医として白川郷を守りますが、その手腕は未知数のまま現地入りしたことになるわけです。例えてみれば、国家資格は取得したものの、実際の病院臨床経験がないまま町医者になったようなもの。ただ、これは江戸時代から明治、大正、昭和初期とほぼ一貫してこのような医療制度が続いてきたわけであって、それは村人にとっては当たり前のことだったわけです。

ここで、考えてみたいのは地域医療はその地域の医師が勤めるのではなく、地域医療に関心のある医師が地域に惚れ込んで行う道があって当然という論理、現実です。美しい原風景、世界遺産白川郷で医師を勤める伊佐次先生の決意とは裏腹に、住民は普段通りの生活を続けているのが本音。医師はいたほうが良いけれど、いなければ隣町に運ぶしかない、そういう成り行き医療も地域は受け入れているのです。

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