HOME»地域別 » 宮城県の医師。仙台市以外は県内の求人募集でかき集められる現状。

宮城県の医師。仙台市以外は県内の求人募集でかき集められる現状。

miyagi01
2011年(平成23年)の東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方。特に、岩手・宮城・福島各県では、太平洋側の医療施設が軒並み壊滅状態になりました。また、津波の影響で海岸線からの風向きがきつくなり、呼吸器系の患者も増加しています。そのような中で、最後の医学部開設となった琉球大学以来37年ぶりの新規医科大学が仙台市に開学。2016年(平成26年)4月は、東北地方の新たな医療の準備期間が始まることから、その意義を問います。

宮城県、医師がいない!研究医や教員のなり手が集まらなかった実態


東北薬科大学が他の2候補(その他、東北福祉大は立候補撤回)との立候補戦に勝ち抜いた医大構想。その理由は全国一の国家資格試験合格率を誇る、東北薬科大学薬学部の安定性にあります。薬学部付属病院としては、珍しくがん研究施設を持っていることもあり、文部科学省の評価も当初から高かったのは周知の通りです。

いの一番に学部新設の手を挙げた 東北福祉大学(仙台市)は、仙台厚生病院と共同で医学部構想において、県北部の栗原市でのキャンパス建設を目論みました。厚生病院側は県最大の面積を持ち、岩手県一関市とも接し、海岸の気仙沼市や南三陸町とは登米市を挟んでほど近い栗原市に新たな病院を建設する構想でした。

ですが、県北部は宮城随一の過疎化地帯であり、ここに集う「教員」が果たしているのか…という問題が浮上。要は、病院を作るのはやぶさかではないが、臨床医であり研究医でもある教員の多くは、仙台市に住んでいるのが実態であり、果たして通うメリットがあるか、ということで、福祉大は学部新設断念に追い込まれました。つまり、病院は場所ではなく、医師集めなのだ…その原点が大事だということが見えてきたのです。

宮城県仙台市以外は「救急搬送先」がない、か全くない

仙台市青葉区にある「東北医科薬科大学」が医学部開設の条件として文科省から提示されたのが、病床数600床という縛りです。一般病床のほか救急搬送も可能な病院として、求められるものは非常に多く、中でも救急救命には大きな期待が寄せられます。

miyagi02

日本医師会政策総合研究機構が発表したデータによれば、宮城県は全国でも「医師・看護師」数が人口比で低く、特に麻酔症例が低く(全国平均を3%下回る)、なっています。震災前から医療の力が足りないことは指摘されていましたが、震災後はその影響が色濃くでてしまいました。

その結果、特に仙北、仙南と仙台から離れる場所に従って、診療医は東北大学病院からの派遣医で占められています。これは比較的医師確保のしやすい岩沼市の大規模病院「南東北総合病院」でも同じ傾向であり(この病院は名取市に隣接する岩沼市、津波の影響を受けた)、ここに医科大学医学部新設の影響で、仙台厚生病院・JR仙台病院・JCHO仙台病院(旧仙台社会保険病院)など400床以上の大規模病院でも急募が数多く出ています。

問題は、ここ数年、仙台市長町などで大規模な再開発が進み、超高層マンション・ショッピングモール・IKEAといった大規模量販店そばに仙台市立病院が移転したことも大きく、救急医療センターは整備されつつありますが、それは仙台市集中…という偏りなのです。

地震と政争に翻弄されてきた仙台市。地下鉄整備と道路網整備がようやく順調になってきた

政治の話をするわけではありませんが、仙台市は全国の大都市の中にあって、全くと言っていいほど都市整備を行ってこなかったのをご存知でしょうか。路面電車がなくなってから9年経ってようやく地下鉄が開業しましたが、その間に1978年(昭和53年)宮城県沖地震が発生し、都市開発はやり直しの局面が多く続きました。

また、道路整備に消極的だった市長が長く務めたことも影響し、病院を誘致しても、道路が拡張されずに救急車が通れない…といった場所が都心でも非常に目立ちました。これは、仙台市特有の卍道路とでもいうべく伊達政宗の設計した敵に攻められない要害都市の特徴です。ですが、順次道路を拡張し、6車線道路発達し、バイパスが整備されていくことから、今後の医療にも一定の明るさが見えてくると期待されます。

病院間の連携が良くない宮城県、医師にとって居心地が良くなるのは今後10年後

さて、仙台市の状況をある程度把握した段階で、今後の宮城県の医療状況を考えてみましょう。震災復興関連の予算が配分されている関係で、仙台市は多くの流入人口を満たしていますが、定住する人々も出ています。また、リーマンショック直前に再開発が進んでいた森ビル、そして勾当台公園付近、花京院といった都心ではビルの建て替えが進んでおり、マンション建設も好調です。

都市部で開業する医院の多くは古くからあるクリニックを継承したり、あるいは買収して開業するケースがほとんどです。そのため、新規開業を勧誘する医療エージェントや製薬MRマーケット関係者が多いのが実態です。逆に勤務医が非常に不足しているため、どの病院でも急募欄があり、仙台に腰を下ろす魅力を感じる人の場合は、今後の街の発展を考えて入職するのが良いでしょう。

ただ、上記にある通り、北部の登米、栗原といった仙北地域は医療過疎が解消される見込みはありません。総合診療医を育てたい、というのが宮城県の考え方ですが、震災でトリアージの危機を目の前で痛感した事実は、まずは一次救急、二次救急に舵を切るのが定石です。ぜひ、若年層医師にも宮城県で働くことを、県民は望んでいます。

都道府県を選択 希望診療科目を選択
こだわり条件検索

条件を入力して検索ボタンを押して下さい。

こちらの記事もおすすめ
  • 秋田県の求人募集~上小阿仁村の「医師いじめ」は本当か? 秋田県の求人募集~上小阿仁村の「医師いじめ」は本当か?
    秋田県の求人募集~上小阿仁村の「医師いじめ」は本当か? 無医村に勤務するデメリットの本質とは?
高齢化と過疎化は、日本全国が抱える大きな問題のひ...
  • 熊本県の医師求人転職~精神病床がなぜ多いのか? 熊本県の医師求人転職~精神病床がなぜ多いのか?
    熊本県の医師求人転職~精神病床がなぜ多いのか? 2010年の厚生労働省による資料では、四大疾病(脳血管疾患、心疾患、がん、糖尿病)を調査したとこ...
  • 山形県外出身医が「住みやすい」と感じる不思議!多雪地帯でのゆとりの秘密 山形県外出身医が「住みやすい」と感じる不思議!多雪地帯でのゆとりの秘密
    山形県外出身医が「住みやすい」と感じる不思議!多雪地帯でのゆとりの秘密 山形大学医学部をヘッドクォーターとする地域と、そうではない地域がある山形...
  • 岡山県の医師求人状況~喘息患者の多さという地域性 岡山県の医師求人状況~喘息患者の多さという地域性
    岡山県の医師求人状況~喘息患者の多さという地域性 喘息患者の多さ、という意外性はなぜ生まれたか?呼吸器系の病院の実力は?2015年(平成27年)...
  • 医師、岐阜の求人~臨床研修医の充足率はなぜ低いのか? 医師、岐阜の求人~臨床研修医の充足率はなぜ低いのか?
    医師、岐阜の求人~臨床研修医の充足率はなぜ低いのか? 臨床研修医の充足率はなぜ低いのか?地域医療に進む少数派の頑張りとは人口200万人、県唯一の...
  • «
    »


    メニューリスト