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婦人科の求人や募集の増加~常勤医は限られる。その背景を探る

hujin
「ウィメンズクリニック」「産科婦人科」「レディースクリニック」…厚生労働省が許可したこともあって、病院やクリニックの名称がかなり自由化されています。ところが、よく探してみると「産婦人科」と「婦人科」は全くの別物、というのが実態です。国は「産婦人科医」を増やすことに力を入れていますが、それは「産科」や「周産期診療科(母子)」であり、女性特有の疾病や症状に関する「婦人科」は、都市部でしか診療できないという問題があります。特に、女性医師に期待される医療について、考えてみましょう。

婦人科で女性に多くみられる疾病、症例は実は増加傾向

レディースクリニックを開業する女医が、全国的に増加しています。そしてその大半は「婦人科」専業であり、「産科」ではありません。特に子宮筋腫や子宮頸がん、あるいは更年期障害など、10代から老齢期にかけて幅広い女性患者を診る、という大きな「需要」があります。

特に、卵巣がんなどは食生活の変化に応じて、年々低年齢化しているのが実態です。2013年(平成25年)6月の厚生労働省統計サイトによれば、今問題となっている子宮頸がんで亡くなる人は、年間3,000人程度(2011年、平成23年)。子宮頸がんを含む「子宮がん」を合計すると、実に年間3,500人が死亡しているのです。そしてその患者増加傾向は20代から…という事実が表面化しています。

ここ数年、子宮頸がん検診がしきりに呼びかけられています。とりわけ性交渉の際にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染し、そのまま放置してしまったため、死に至るケースが報告されています。とりわけ不特定多数の性交渉によるウイルス感染は、時代性があるため、厚生労働省も13歳までの女性に対策を取るため、教育現場での指導が始められています。

婦人科において女性医師が常勤医を「辞める」理由は

医師国家試験の3割は女性、という時代。当然女性医師が選択する診療科目には婦人科と産科があります。女性ならではの診療であることから、患者の「安心感」や「通院への抵抗感の薄れ」が、女医の増加にも拍車をかけています。ただ、問題も少なくない…それは、大学病院や総合病院の女医そのものが退職してしまう、という事実です。

例えば九州大学医学部の例を見てみましょう。九大には婦人科学産科学教室があり、在籍医大生は周産期、生殖生理内分泌、婦人科腫瘍の3グループを勉強することになっています。旧帝国大学であっても、実は産科と婦人科は一体のものであり、多くの女医はこの3つをしっかりと習得していくのです。

ところが、実際に卒後自分が結婚し、出産育児を経験していくに従って、子供を守るか患者を守るか…という選択肢に走らざるを得なくなります。仮に総合病院でのポストが与えられたとしても、婦人科と産科が完全に分離しているところは、そう多くはありません。どの病院でも産婦人科という括りがあり、男性医師が産婦人科にいることへの抵抗感が病院に伝えられ、女医に「婦人科と産科」の兼任という要請が降る…という傾向があるわけです。

女医の多くは産科と婦人科の両方に関心を注ぎますが、30代、40代と年齢を重ねるに連れて、出産や周産期というタイムレスで「超多忙な勤務状況」は、女医の多くを常勤ポストから遠ざけてしまいます。残念ながら、未だに多くの女性が「質の低い男性医師が婦人科を診る」という固定観念を抱き、それは今後とも続いていくものと思われます。

婦人科の診療内容の多様化~男性患者の「不妊」を診る婦人科の重要性

最近の傾向では、「不妊治療」専門の婦人科女医のクリニックが患者を多く集めています。とりわけ不妊治療は女性だけでなく、男性側の要因も否定できません。男性の場合「泌尿器科」はありますが、不妊についての臨床はしていません。逆にいえば、カップルで受診しなければ、不妊治療は不完全…という時代になっています。

ただ、こうしたクリニックは、女性が開業し、家庭的な雰囲気で臨床されなければならない、というデリケートな環境を重んじなければなりません。従来の「大学病院」や「総合病院」、「専門病院」の男性常勤医が流れ作業的に臨床し、検査を行うこと自体が患者である女性に大きな抵抗感を及ぼし、自然と病院へ足を向かわせなくなり、結局症状が進んでから診察して、すでの時は遅し…ということがわかっています。

常勤医で女医が一人いた、としても、いつも女医がいるとは限らない…こういう不安は患者にあるのも事実です。特に大学から非常勤で診察する女医の場合は、人事関係であちこちの病院に異動します。常勤になったとしても、病院の経営方針によって、周産期医療センターを常設しなければならない事態も発生するでしょう。女医にとって大事なことは、まずは自分の人生を大事にすること、その上で女性患者を診るということは「わがままでもなんでもない」ということです。まずは、女性スタッフがしっかり配置されている病院で勤務をすること。男性医の評判が悪ければ、女医の自分にもとばっちりがくることは自明です。勤務医として頑張る女医は、しっかりした勤務環境を選ばなければなりません。





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